日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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29 巻 , 1-2 号
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原著
  • 糠澤 真壱
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 18-26
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    本論文は,下顎総義歯の印象法においてコンパウンドを使ったブロックに分けたボーダーモールドを行った上での開口印象である術者誘導型印象法と,下顎総義歯の吸着を目的とした時に行われている患者自身に機能運動をさせた上で閉口位にて印象採得する患者主導型印象法の印象形態の比較の報告である.比較観察の結果から各部位に特徴的な違いあることが分かった.この特徴から術者誘導型印象法は,支持組織に対し機能時の問題が生じない範囲内で義歯床を拡大することを目的とした,下顎義歯の支持を重要視した印象方法であり,患者主導型印象法は,欠損空間を義歯で過不足なく満たすことを目的として下顎総義歯を顎堤に吸着させる印象方法であることが示唆された.
  • -生体のストレス反応における咀嚼器官の役割-
    岡田 鈴人, 笹栗 健一, 佐藤 貞雄
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 27-34
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    アロスタシスとは生命体が生命活動をおこなうための必要不可欠なメカニズムであり,それは生体の恒常性の維持あるいは恒常性を維持するために生体のシステムを変化させることを意味している.アロスタシスは身体の環境に対する適応や社会に対する精神的適応を促進する.生体が環境の変化に適応するためには,生体自身はある程度の危険を犯さなければならない.しかし,その危険があまりにも頻繁な場合や,生体自身の適応に限界がある場合には,その危険は,アロスタティックロードとよばれ,生命活動に対して障害(病気,あるいは死)を生じることとなる. 今回われわれは,生命活動の緊急状態の指標として,血圧と体温を測定して,それらに対するバイティングの効果について検討した.拘束ストレス中に木製の棒を噛ませると,ストレス性の血圧上昇が30分,45分,60分,75分で有意に抑制され,体温の上昇も30分,60分,120分,180分で有意に抑制された.これらの変化は,サーモグラフィーにより肉眼的にも明らかとなった.また,バイティングにより血中のIL-1β,IL-6,レプチンのストレス性上昇が有意に抑制され甲状腺刺激ホルモンの減少も抑制された.これらの結果は,バイティングにはストレス抑制効果があり,顎口腔諸器官の活動はストレス刺激に対する精神的適応に重要な役割を担っている可能性を示唆している.
  • 武井 順治, 秋本 進, 佐藤 貞雄
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 35-40
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    完全な歯列を持つ10代から60歳代までの日本人5,146人の咬合誘導路について研究した.フェイスボウにてSAM 咬合器に装着された研究模型の左右両側の機能上の誘導路角を3Dデジタイザーを用いて計測した.異なる臼歯咬合関係や年齢を評価した.アングルⅠ級,Ⅱ級,Ⅲ級の臼歯部咬合関係と咬合誘導路および咬合平面との関係について比較検討した.その結果,犬歯第一小臼歯の咬合誘導路の傾斜は,加齢にともなって徐々に減少する傾向を示し,後方歯の咬合誘導路の傾斜は徐々に増加した.後方部咬合平面(pOP)は,加齢にともなって徐々に平坦化した.この変化は相対顆路傾斜角を増加させ,臼歯離開をより容易にする変化であった.また,アングルⅡ級におけるpOP はアングルⅠ級およびⅢ級と比べ急峻となっており,後方歯において干渉を生じる危険性が増大することが示唆された.これらの結果から加齢による咬合誘導のパターンの変化としては犬歯誘導からグループファンクションの傾向になるものの,生涯を通して犬歯主導順次誘導咬合を維持するものと考えられた.
  • 畑中 秀隆
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 41-44
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    インプラント治療は,日常臨床のなかでさまざまな症例で応用されるようになり,的確な診査・診断のもとで用いることにより,患者,術者ともに満足の得られる結果をもたらす方法であることは論を俟たない.抜歯症例のインプラント治療においては,歯槽骨の治癒を待って骨質・骨量の良好な歯槽骨にインプラントを理入できれば,術者としてのストレスは少なくなるが,現実は治療期間の増大にともなう歯槽骨の吸収,隣在歯の移動,咬合の変化,審美性の欠如などさまざまな問題が生じる可能性がある.そこで,抜歯後即時インプラント埋入を行うことで,このような問題を解決できると考えられている. しかし即時理入を行う場合,骨量の問題や初期固定が得られるか,炎症によるダメージはないか,などクリアしなければならない問題も多い.1 つの方法として患歯に矯正学的挺出を施し,周囲の歯槽骨や軟組織の垂直的造成を戦略的に行うことにより,抜歯後即時インプラント埋入の予知性を向上することができるのではないかと考える. 本稿では,矯正学的挺出後に抜歯即時にてインプラント埋入を行い,良好な結果を得たので報告する.
  • 目黒 憲治, 芳賀 浩昭, 石川 明
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 45-50
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    インプラント補綴を長期的に機能させるためには,清潔な口腔内環境の維持と咬合力のコントロールが必要である.それには,定期的なメインテナンスの継続が不可欠となってくる.われわれは,技術的なハード面と患者の人間性などを考慮したソフト面,双方のバランスがとれたシステムを開発し運用してきた.それにより,患者の高いリコール率を維持し,インプラント補綴および口腔内環境の維持に良好な結果を得てきた.よって,ハード面とソフト面双方のバランスの取れたメインテナンスシステムは有効であると考えられる.
  • -ナローインプラントと骨モデルを用いた手術侵襲の軽減-
    和田 義行, 吉村 治範, 三上  格
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 51-58
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    近年,ペイシェントドリブンの概念に基き,インプラント治療においても,患者の負担を軽減するための方法が注目されている.インプラント手術の負担を軽減するための手段の1 つに,ナローインプラントの使用がある.ナローインプラントの使用により,大きな骨造成を避けることが可能になり,治療期間の短縮も期待できる. しかしナローインプラントは,その強度的・構造的な特性から,限られた症例に適用され,全顎的な治療への適用は適当でないとされてきた.また,補綴処置においても十分な審美性の獲得が困難とされており,骨造成を行いレギュラーサイズのインプラントが選択されてきた. その一方で,ナローインプラントはレギュラーサイズのインプラントと予後の差がほとんどないという報告が多く見られる.そこで今回,筆者らは,前後的すれ違い咬合症例の全顎的咬合再構成に,ナローインプラントを用いて,大きな骨造成を行わずに患者の手術侵襲を軽減し良好な結果を得た. ナローインプラントを全顎の咬合再構成に使用するには,その特性の十分な理解,正しい適応症の選択,正しい使用法が必要と考えられた.さらに,3D 骨モデルを併用することでナローインプラントは,さらに有効に使用することができた.
  • 脇田 雅文, 田中 美枝, 宇野澤 秀樹
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 59-66
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    インプラント治療において,歯槽骨量が少ない場合は骨造成を併用してインプラントを埋入する方法が多く取り入れられてきている.しかし,大きな骨造成を行なうことにより患者および術者への負担も大きくならざるを得ないという欠点があった. そこで,ショートインプラントを適正な位置に埋入することにより,低侵襲で埋入を行ない,患者への負担を軽減するように試みられてきた. しかし,欠損部の大きい全顎治療等でインプラントの埋入本数が増えた場合は,技工側は上部構造の補綴物製作にあたり鋳造物が大きく鑞着部分が多くなり,高度な技工技術が必要になる.さらに多くの貴金属の使用によりコストの増加がともない,患者側の経済的負担にもなっていた. プロセラインプラントブリッジの最大の特長はCAD/CAM システムによって製作され,従来の鋳造物と比較し,チタンブロックからの削り出しのため,変形のリスクがないことである.フレーム自身がアパットメントと一体構造,高強度,作製過程の簡略化と低コストである利点がある. 本論文においてショートインプラントとプロセラインプラントブリッジを用いたインプラント治療の結果,精度が高く一定の審美性のある上部構造を持ったインプラント補綴治療ができ,本治療方法は以下のような特長をあわせて有している. 1.ショートインプラントによる患者,術者への負担軽減 2.プロセラインプラントブリッジによる製作過程の簡略化と低コスト化 これらの結果から今後のインプラント処置の選択肢の1 つとなりうることが示唆された.
症例報告
  • 中村 繁己
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 67-73
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    CAD/CAMの進化はわれわれ臨床家の想像をはるかに凌ぐスピードで進化している.まだまだ発展途中の物ではあるが,広く臨床応用され,とくに前歯の審美領域においては不可欠になったと言えるのではないだろうか. CAD/CAM導入当初から現在に至る間に,改良がなされマテリアルも多岐に渡るものとなったが,同時に筆者自身の考え方も変化した.本稿では現時点での筆者なりの考え方を提示したい.
  • 松本 和典, 添島 正和, 添島 賢一
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 74-80
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    最終補綴を装着する顎位は咬頭嵌合位を基準位として用いるケースが大半であるが,これはあくまでも咬頭嵌合位がつねに機能的,形態的に正常であるとの認識の上に成りたっているに過ぎない.河村は咀嚼筋・顎関節・歯の3要素と咀嚼筋が支配している神経を機能的咬合系と名付け,これらの要素によって調和がとれ機能することの重要性を説いた.咬頭嵌合位は上下顎の歯が最大接触面積で嵌合するもっとも安定した顎位で,下顎窩内での顆頭と関節円板との位置関係が安定し,しかも神経筋機構とも調和がとれていなければならない.さらに,中心位とのずれが少ないほうがより望ましい.しかし,う触や重度の咬耗や歯周病により歯の傾斜・移動や欠損が進行してくると,正常な咬頭嵌合位が除々に崩壊し不安定になり,筋の過緊張を起こす.このように崩壊していく過程の中での下顎位を信じ,その場しのぎの対症治療的な補綴を行った結果,顎口腔系はもちろん,全身的にも何らかの機能異常が発症する場合がある.そのため,中心位における診断用ワックスアップに基づいたプロビジョナルレストレーションで咬合状態を長期的に観察し,付与した下顎位に間題がないことを確認して,最終補綴を装着する.その上で,長期的な経過から咬合治療の妥当性を検証することが重要になってくるものと思われる.
  • 大石 庸二
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 81-87
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    私たち歯科技工士が日々製作する補綴物にはいくつかの要件があるが,その中でもスポットライトの当たり方には多少なりの差があり,審美的な要素に注目が集まることは否めない事実である.しかし,その審美性を長期的に安定させ,その他の要件としてのさまざまな機能の回復,改善を実現するための形態を付与することは必要不可欠である.その中でも「咬合」に関する事項は最重要と考える. 本稿では,第一大臼歯咬合面形態の設計において,とくに製作する歯牙(支台歯,インプラント)の位置が正常でない場合の留意点について記したい.
  • 宮村 好美
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 88-92
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    近年,歯科医療における歯周病やう蝕は予防することに重点がおかれつつある.歯周病やう蝕を予防するために行うPMTC は,すでに多くの診療所で導入されている.しかし患者の予防に対する意識を長期間維持することは難しく,結果的にドロップアウトしてしまうことも多い. 当院では予防に対する意識強化の1 つとして患者1 人ひとりに応じたPMTC を行っている.本稿では当院で実施しているPMTC システムについて症例を通して考察する.
  • -個々の患者さんと長く関わり,歯科衛生士を一生の仕事とするためには-
    落合 真理子
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 93-99
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    本稿では,広範型中等度慢性歯周炎と診断された患者の症例を通し,仕事の都合で継続した来院が困難な場合へのアプローチ法について報告する. 1999 年の「保健福祉動向調査の概況 歯科保健」によると,25 ~34 歳の歯科受療の中でもっとも多いのは「ムシ歯の治療」で77.0 %であるが,「歯周疾患の治療」は3.7 %,「検診・指導」は6.8 %にとどまっている.同調査で「治療を中断・転院したことがある」と答えたのがもっとも多い世代に対しては,とくに口腔内の状況と治療の必要性を正確に理解してもらうことや,アポイントの工夫などによって一時的に来院が中断しても再来院しやすい環境を作ることが重要と考える. 本症例の治療,および管理,指導を通して,初診時に近い時期の効果的なモチベーションは長く維持されることが理解された.また,歯周初期治療と禁煙が同時期に行われることで,約2 年後には歯肉の線維化に改善が認められた.
連載
  • 2 時限目「診断」
    普光江 洋
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 100-107
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    咬合学は臨床家にはとっつきにくい学問と思われがちですが,決して難しいものではありません.正常な咬合を有しているすべての人が,すでに有している機能を科学することで機能不全に陥った患者さんを治療する,あるいはその前段階で病気を食い止めようという学問です. 有歯顎の治療はもちろんのこと,義歯の咬合,近年はインプラント治療における上部構造物の咬合の与え方が,その予後を左右することは異論を挟むことのない事実です. かつて,咬合学は難解な学問でしたが,それは咬合のメカニズムを機械的に構築し論理づける,という長く根気のいる時代が背景にあったからです.しかし,現代では先人と同じ苦労をする必要はありません.いま,目の前にある結果と必要最小限のテクニックを身に付けることで,咬合を自分のものにすることができます. 前回の咬合教室,第1限目では,咬合のスタートラインである「基準点を何処に求めるのか」,「ターミナル・ヒンジ・アキシスとセントリックの関係」についての話を進めるために,日本の近代歯科学に道筋をつけた先生方に登場していただきました.今回の2時限目は「基準位」をどのように考え,どうすればそれを臨床に応用することができるのか,さらにセファロ分析を加えることによって「治療計画」の中で,“何が変わるのか”といったことを,具体的な例を交えて展開していきます.
  • -器具・器材応用した彎曲根管の考え方とその処置法-その①
    山田 國晶, 番匠 千津, 三木 隆寛
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 108-114
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
  • その3 咬合器装着からワックスアップ
    佐々木 雅史
    2009 年 29 巻 1-2 号 p. 115-123
    発行日: 2009/04/24
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
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