抄録
インプラントは1965年に臨床応用されて以来,形状・表面性状等においてさまざまな進化を遂げ,現在に至ってはきわめて有効な欠損補綴の一手段として,その地位を確立したと言ってよいと思われる.そして,現在の一般臨床では,治療期間を短縮させたいケースや,できるだけ早期に咬合の確立を図りたいケースにおいて,抜歯後即時に,あるいは比較的早期にインプラントを埋入し欠損修復を行っていくという手法が多用されてきていると思われる.このような手法を用いる場合,抜歯後の歯槽骨や歯肉の形態変化を予測し,適切な位置にインプラントを埋入することが必要とされるが,欠損歯数が多くなるほど抜歯後の変化を予測することは困難となる.
そこで今回は,上顎歯牙をすべて抜去しインプラントを用いて咬合再構成を行った症例を用い,抜歯後の骨吸収やインプラントポジションについて考察を加えたので報告する.