日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
Online ISSN : 1884-8230
Print ISSN : 1346-8111
ISSN-L : 1346-8111
原著論文
総義歯製作における咬合器装着によって発生する誤差に関する実験的考察
─マウンティング用石膏の膨張がもたらす咬合器上での上下顎間関係─
森永 純
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 32 巻 1-2 号 p. 81-93

詳細
抄録
総義歯製作において,歯科医師が診査,診断によって決定された上下顎間関係を,咬合器装着によって忠実に再現することは,歯科技工士にとって,咬合調整の少ない補綴物を製作する上で極めて重要な作業である.しかし,膨張変化のある石膏を用いて装着した咬合器上の誤差は,切歯指導釘の浮き上がりとして現れる.本論文は切歯指導釘が浮き上がった咬合器上の上下顎間関係に誤差が発生しているか否かを確認すること,および浮き上がりを減少させる目的で模型実験を行った報告である.その結果,切歯指導釘の浮き上がりの原因はマウンティング用に使用する歯科用石膏(以下Mt 石膏と呼ぶ)の硬化膨張及び吸水膨張であることが判明し,その咬合器上の上下実験用模型は,本来の上下顎間関係とは明らかに異なる誤差を発生させていた.この結果は,Mt 石膏の膨張を抑制する咬合器装着作業が,口腔内の上下顎間関係を再現させる鍵となる作業であり,その後の技工操作に重大な影響を及ぼす事を示唆している.咬合器装着という日常の作業が歯科技工士にとっていかに重要な技工課程であるか報告する.
著者関連情報
© 2012 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top