抄録
無歯顎患者のインプラント埋入に対して,術後管理は困難を伴う.術後,患者から義歯の使用が禁止されることによる摂食障害,粘膜の腫脹による義歯不適合と疼痛,床下粘膜調整材のたびたびの交換および厚みのコントロールなどの切実な訴えを受けた経験も少なくない.今回,残存歯が重度歯周炎で予後に不安が残るため戦略的抜歯を行い,上下顎無歯顎となった患者に上顎は総義歯,下顎は歯肉剥離を行い4 本のインプラントを支台としてブリッジを製作し,即時荷重を行った.そしてプロビジョナルブリッジによる治癒期間を経て,CAD/CAM を適用したチタン削り出しによりワンピースのフレームワークを作製し,補綴した.現在までトラブルもなく5 年間が経過した.このことからも無歯顎に対して支台となるインプラントの数を最小限にした即時荷重コンセプトは臨床的に有用な治療法であることが示唆された.【顎咬合誌33(3):213-221,2013】