日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
咬合位を改善し顎口腔系機能回復を行った1 症例
松岡 力
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2014 年 34 巻 3 号 p. 281-292

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抄録

歯科医師は顎機能障害が主訴の症例において顎関節症という診断を下した場合,はじめに咬合由来か否かの鑑別診断を行う必要がある.そして咬合由来であると診断した場合,咬合と顎口腔機能との調和を考慮しなければならない.本症例は顎関節症の治療において咬合違和感と顎口腔系の機能不全が改善されないことを主訴とする症例である.本症例において咬合機能不全による修復物の繰り返される破損は,過度の咬合挙上による顎機能異常が原因と判断した.この原因に対して,咬合高径を下げる治療が必要であるが,下顎位の変更において,咬合高径を下げるためのプロトコールなどは見当たらなかったので,任意に選出した咬合挙上の手法や捉え方について記された文献を参考に用いて,そのプロトコールを逆の流れで考え,5 つの評価基準を設定して治療計画において段階的に進める処置後の毎経過観察ごとに評価を行った.治療後の結果は症例に適切と思われる咬合位において,顎関節部からみた適切な下顎運動と顆頭位の維持も得ることができ,顎口腔系の生理的に調和のとれた機能回復と患者の満足も得られたので報告する.【顎咬合誌 34(3):281-292,2014】

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© 2014 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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