日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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総説
栄養をアウトカムにした歯科医療を!
菊谷 武
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2020 年 40 巻 3 号 p. 167-

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抄録

フレイル予防の観点からすると高齢者にとっては「低栄養」が問題となる.咀嚼障害は,その原因から器質性咀嚼障害と運動障害性咀嚼障害に分けることができる.前者は,歯をはじめとする咀嚼器官の欠損によって起こる咀嚼障害であり,これに対しては義歯などの補綴治療による咬合回復が機能改善のために必要な方法となる.後者は,生理的老化や脳血管疾患などによって身体機能が低下した場合にあわせて生じる口腔器官の筋力低下や運動制御系の乱れを原因とした運動機能低下によるものである.歯科医療はこれまで,「疾患モデル」に準じ,咀嚼障害の改善を目的に,齲蝕や歯周疾患の予防や治療,補綴治療が行われてきた.しかし,「生活モデル」では,咀嚼障害を背景に,低栄養を原因としたサルコペニアや加齢による機能低下が存在するため食事指導や運動機能訓練などによる介入が必要となる.歯科医療者は,高齢者にみられる咀嚼機能の低下の原因と栄養状態との関連を理解し,生活モデルに準じた栄養をアウトカムにした歯科医療を実践しなければならないと考える.【顎咬合誌 40(3):167-173, 2020

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© 2020 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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