わが国では,根管治療歯のやり直しが比較的多い.これは根管治療の成功率の低さを物語っている.ここでは「やり直しの根管治療の意思決定」についてFriedman のディシジョンツリー(1986 年)に従って,処置判断の分かれる6つのポイントについて論じる.6つのポイントとは①Restorability,②根尖歯周組織の評価,③根管へのアクセスが可能かどうか,ここでは主に外科的歯内療法を考慮すべき状況について,④エックス線的根管充塡の質,これは必ずしも根管治療全体の質を意味しないことを強調し,⑤補綴物新製の必要性をあげ,⑥治療の選択肢がある場合の考察として(a)根管治療が成功しなかった場合,(b)成功しているが補綴物の新製が必要になる場合について,わが国特有の問題を論じた.また非外科的再治療,外科的再治療,抜歯,経過観察,専門医への紹介の5つの選択肢について私見を述べた.