2022 年 42 巻 2 号 p. 173-180
幹細胞,足場,生理活性物質の3 要素により組織構築をはかる再生医療は,失われた健常組織をよみがえらせようとするものである.従来のペプチド,タンパク質などのバイオ医薬では十分な効果を得られなかった薬剤治療を飛躍させる先進的治療として注目され,今や細胞を薬と捉える概念となってきている.再生医療は臨床応用が進み,その効果ゆえに保険収載されたものや実用化した領域もあり,「夢の治療」から「現実の治療」となり,次世代医療として進歩している.歯科領域では,歯周病に起因する骨吸収のために歯を失ったり,腫瘍,外傷などにより骨欠損が生じたりすることが多く,骨再生は最重要項目の一つである.筆者らは骨髄由来幹細胞を用いた再生医療,歯髄幹細胞を用いた再生医療の臨床応用を行ってきており,良好な結果を得てきた.適応症にはインプラントのための歯槽骨再生,歯周病,顎裂部骨欠損,骨延長術等が含まれ,13.5 年経過例を含め100 例を超える症例を経験した.その中で,骨再生までの骨形成期間が早いことも明らかとなった.本総説では,骨再生の現状に触れつつ,体に優しい細胞治療を用いた方法の流れを含め概説する.歯科・顎顔面領域への再生医療の展開は歯科領域からの社会貢献へ繋がり,新たなる治療法のパラダイムシフトへ貢献することとなろう.