2024 年 44 巻 1 号 p. 58-70
近年,歯科衛生士の業務は高齢社会の進展や疾病構造の変化に伴い多様化してきている.中でも口腔インプラント治療は急速に普及・発展している.そして治療技術の進歩,治療計画や診断における諸検査の充実,患者の主観的評価の重要性により歯科衛生士の役割は多岐にわたっている.著者らは,インプラント治療は患者,スタッフ,術者の共同作業であると考えている.そして新時代のインプラント治療において術前の情報収集や患者への説明に新しい知識を持った歯科衛生士の活躍が期待されている.本2 症例においてインプラント治療に必要な補綴関連検査などの客観的情報や患者報告アウトカムなどの主観的情報の収集に歯科衛生士が積極的にかかわった.そして歯科衛生士が治療の意思決定に参加することにより患者・歯科医師・スタッフ間での認識の共有がスムーズに行うことができた.さらに検査結果や得られた情報を数字や図で患者に提示することにより,患者自身も気づかない問題点が抽出された.さらに患者との良好なコミュニケーションと意思決定の共有(shared decision making) が構築されインプラント治療はより充実したものになった.これらの役割は歯科衛生士にしかできない重要な仕事であると考える.【顎咬合誌 44(1):58-70,2024】