抄録
現在,補綴修復治療はバイオミメティック(生体模倣)アプローチという考えかたが浸透し,できるだけエナメル質と歯の構造を保存する接着修復が世界的に主流となってきている.接着技術の進化とインプラントの登場の恩恵によりクラウンやブリッジ修復における従来型の保持形態,抵抗形態付与のためのアグレッシブなクラウン支台歯形成は,前歯のみならず臼歯においても,今やそれらの再治療時のみに用いられるべきと考える.つまり現段階では歯の硬組織の再生が困難である以上,治療侵襲は必要最小限にとどめ,残存する歯の構造と組織を温存し天然歯固有の優位性を最大限に生かすことにより生物学的,構造力学的,機能的,審美的特性を天然歯に近似させ再現させることがベニア補綴修復治療の目的となる.臼歯ベニアのプレパレーションデザインは,(1)残存歯質量と修復物軸面数,(2)接着のクオリティー,(3)バイオメカニックス,(4)トゥースフレスチャーコントロール,(5)被着界面の保守,(6)マテリアルセレクション,(7)修復装置の厚さ,などの視点から症例ごとに導き出されるべきであり,種々のベニアのデザインが存在する.本総説では文献検索を交え,前歯ベニアの推奨されるプレパレーションデザインをエビデンスとエクスペリエンスの両視点から考察した.