抄録
日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えており,健康寿命の延伸は喫緊の課題である.近年,「オーラルフレイル」という概念が普及し,口腔機能の低下が全身の虚弱化に先行することが示されてきた.その中で,咬合支持の維持などの補綴介入は,オーラルフレイル予防における重要な要素とされている.本稿では,歯の喪失に伴う一次性,二次性,三次性の障害を整理し,負の連鎖を断ち切る補綴治療の意義を残存組織保護の観点から論じる.歯科補綴治療の介入による咬合支持の維持は,咬合接触面積の増加による咬合力の向上のみならず,嚥下機能の維持やオーラルフレイル予防を通じ,健康寿命延伸に寄与することが明らかとなってきた.本稿では,現代社会における歯科医師の役割を改めて整理する.