抄録
根管治療では,根管形成された根管形態に対応し根管充塡法が選択される.シングルポイント根管充塡法(単一ポイント法)は,リーミング操作で拡大形成した根管に,単一のガッタパーチャポイントを用いて根管空隙を充塞する方法である.ところが,根管形成後の根管形態とガッタパーチャポイントの適合性が乏しく,緊密な根管封鎖が難しい.そのためガッタパーチャポイントを側方加圧や垂直加圧で緊密に充塞する根管充塡法が必要となる.ステンレススチール製切削器具(SS ファイルと略)はプレカーブを付与して彎曲根管に使用されるが,根尖部のトランスポーテーションを発生しやすい.一方,NiTi 製ロータリーファイル(NiTi ファイルと略)は超弾性を有し,彎曲への良好な追従性からトランスポーテーションを防止できるが,器具破折を起こす問題があり,長年にわたり改良が続けられてきた.NiTi ファイルは回転運動で使用されるため根管形成後の断面が円形となり,形態は最終使用ファイルに一致する.そこで4%,6%,コンフィットガッタパーチャポイントなどのテーパー付き製品が開発され,根管形態に適合性の高い根管充塡システムが確立した.さらに,根管充塡用シーラー(根管シーラーと略)においては,接着性や結合性,生体活性,膨張性などの新規材料が開発されている.その結果,NiTi ファイルで根管形成後の円形根管に適合する単一ガッタパーチャポイントに,新開発シーラーを使用するシングルポイント根管充塡法が確立した.本稿では,ISO 国際標準規格器材を用いたスタンダードな根管治療,および革新的発展を成し遂げたシングルポイント根管充塡法について概説した.