日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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臨床的にセメント質剥離が疑われた症例群に対する考察
岡野 弘幸
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2000 年 21 巻 2 号 p. 187-191

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抄録
セメント質剥離は, 根尖方向への細菌の侵入を容易にし, 局所的で急速な歯周組織の崩壊を引き起こす.今回, 所属スタディグループで見つかったセメント質剥離10症例を検討した.
(1) 全症例において患者は比較的高齢であり, その平均年齢は66.4歳であった.
(2) すべて単根歯であった.
(3) 性別は, 男性8例, 女性2例であった.
(4) 10症例中, 生活歯2例, 失活歯8例であった.
(5) セメント質剥離が根尖部にあるものは歯周支持組織の喪失が多く, 歯頸部にあるものは歯周支持組織の喪失が少なかった.
以上より, セメント質剥離の原因は, 歯牙に対し外傷性に働く外部の力と, ヒトの高齢化に対応した種々の変化に関係していることが示唆された.
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© 特定非営利活動法人日本顎咬合学会
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