日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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咬合採得法と下顎位の再現性
―第2報ゴシックアーチ・トレーサーによる
菅野 詩子菅野 博康
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2003 年 23 巻 1 号 p. 34-40

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抄録
日常臨床の中で様々な咬合採得法が行われているが, その中で, 主に無歯顎者の水平的ド顎位を決定するために用いられているゴシックアーチ・トレーサーによる咬合採得法について, 有歯顎者を被験者として, その下顎位の再現性を検討した.
5名の被験者に対し, 初診時, ゴシックアーチApex, 同部での咬みしめ, Trapping Point, 同部での咬みしめ, オクルーザルスプリント使用後のセントリック・リレーション・レコードを2枚ずつ採得し, それぞれの再現性および下顎位を比較検討する.なお, 初診時とスプリント使用後はチンポイント変法を川いる.
ゴシックアーチ・トレーサーで1枚目と2枚日のセントリック・リレーション・レコードが一致したものは32枚・16組のうち1組のみであり, この1組もチンポイント変法のものとは一致しなかった.
チンポイント変法と比較してゴシックアーチ・トレーサーによって得られた下顎位は, 咀嚼関連筋群の生理的緊張のバランスのとれた下位とは異なったド顎位を示す可能性が高く, その下顎位の再現性には問題がある.
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