無歯顎補綴医療において優れた咀嚼機能・審美性の回復を成功に導くためには, 的確な問診および診査・診断を行い, 対応策を熟慮し, それにより治療計画を立案することが重要となる.
臨床においては, 診査・診断の結果, 直ちに最終義歯への調製に入れる症例と, 口腔内諸条件・顎機能の改善処置を先行しなければ最終義歯の調製に入れない症例とが存在する.
後者に該当するものとして次のものがあげられる (図1、2) .
(1) 下顎の偏位: が存在し, 正常な位置に復位する必要がある症例.
(2) 床下粘膜異常が存在し, 粘膜調整を必要とする症例.
(3) 著しい歯槽堤の挺出により的確な咬合平面の構築が不可能であり, 歯槽整形を必要とする症例.
(4) 粘膜ド骨組織のトポグラフィー不良により優れた支持組織を期待できないため, トポグラフィー改善処置として歯槽整形を必要とする症例.
(5) その他.
今回, 床下粘膜異常が存在し粘膜調整を必要とする症例と, 著しい歯槽堤の挺出により的確な咬合平面の構築が不可能であり歯槽整形を必要とする症例に対し, 治療用義歯を活用し問題を改善した後, 最終義歯へ移行した臨床例について報告する,
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