日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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低位咬合におけるオクルーザルスプリントの意義
―咬合再構成を前提としたその役割―
川上 清志
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2004 年 24 巻 2-3 号 p. 320-326

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抄録
咬頭嵌合位がない, あるいは現在の咬頭嵌合位自体に問題がある, といったように, そのよりどころとなる歯牙位が存在しない場合の咬合再構成は困難なものとなる.この場合は, 個体にとって適正な下顎位というものを確立したうえで, そこに適正な咬頭嵌合位を付与するという戦略法が必要になると考える.言い換えれば, 顆頭位, 筋肉位を確立させたうえでの歯牙位の確立が必要になるということである.しかし, 病的な状態で経過した下顎位というものは, 必ずしも適正なバランスのとれたものとは言いがたい.筋の過緊張や顎関節部での歪みが起こっていないとは言いきれないからである.通常, GPは顆頭部や咀嚼関連筋に直接アプローチすることはできない.しかし, 応急的に歯牙位を仮設したり問題のある歯牙位を利用したりすることで, 咀嚼関連筋のリラキゼーションが図られた適正な下顎位を導き出すことは可能である.その重要な役割を果たすものとして, オクルーザルスプリントは不可欠な咬合再構成のための装置であると考える.
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© 特定非営利活動法人日本顎咬合学会
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