抄録
外側翼突筋上頭と下頭の筋電図を段階的噛みしめ時と段階的開閉口運動時に記録した.上頭は閉口筋的活動を, 一方下頭は開口筋的活動を示した.上頭では伸張反射様筋電図応答が認められた.この伸張反射様応答の機能的意味は, 関節頭を後方に偏位させるような力に対抗して関節を安定した位置に保つスタビライザーのような役割を担うものと考えられた.この考えは, 関節構造の解剖所見からも支持される.また, 上頭は関節頭が関節窩内に存在し, 前後的移動運動を示さない蝶番運動時に下顎回転角度と直線的な反比例の筋活動の変化を示した.このことから, 上頭は関節頭と関節円板の相対的位置関係の調節に深くかかわっていると推測された.