2006 年 26 巻 3 号 p. 260-265
口腔インプラント治療における上顎洞底挙上術は, 骨の乏しい上顎臼歯部での補綴主導型の治療計画において必要不可欠な処置である.現在, 上顎洞底挙上術を行った術後良好な口腔インプラント長期予後症例も多数報告されているが, 上顎洞の解剖学的構造は, 従来のX線検査に用いられたオルソパントモなどから3次元的に理解することが難しい症例が存在し, 術前にCTを応用した検査が必要である場合が多い.今回は, CTにより得られたデータによって作製した3次元顎骨モデルを用い, 術中の指標となる骨上ステントを作製し, 上顎洞内に隔壁の存在する症例や術部に上歯槽動脈分岐血管を有する症例に対し, 安全に上顎洞底挙上術を行った症例について報告する.