2024 年 21 巻 1 号 p. 46-57
伝統工芸産業は、一般には縮小傾向といわれている。しかし、統計データを精査した結果、2010年以降、出荷額や輸出額が上昇に転じている分野がある事が分かった。その一つが刃物である。なぜ、衰退傾向が一般的な中で、再び上昇に転じた伝統工芸産業があるのだろうか。
本稿は、量的・質的調査から刃物産業の実態、再生へと転じた要因を考察した。その結果、新しいプレイヤーの参入による産地の工芸エコシステムと後継者育成の進化、政府の輸出促進政策や知的財産政策の影響が明らかとなった。