2000 年 2 巻 2 号 p. 71-84
この論文は, 1900年代初期に成立した消費社会に誕生する百貨店と「職業婦人」の社会的関係を政治的, 経済的かつまた都市文化論的視点から考察する。「職業婦人」のなかでも, 百貨店につとめる「女性店員」に焦点を当て, 彼女たちが何を目的にどのように教育されてきたか, また, その結果どのようなジェンダー・イデオロギーが形成されてきたかについて論じ, また近代化の進行する中, 百貨店がいかに都市空間を変容させ, 新しい都市的文化を形成していったかを「ショップ・ガール」(北澤秀一, 1925) の出現を通して考察し, そこにみられる百貨店の社会文化的機能について論じる。