抄録
本稿では、文化産業を機軸とした都市の再生とサステイナビリティの要因を明らかにすることが目的である。一部の人々を対象とした消費指向型の文化政策は、芸術文化、社会、そして経済間の悪循環を助長する。では、公共政策論を前提とした文化政策の実施が地域に根付いた文化産業を創出することに即つながるのか、そうであれば、文化政策が文化産業において具体的にどのような機能を果たし、どのような社会関係性の下でどのように波及効果を生み出しているのか、そして文化支援の財政課題をどのように克服するのかという問いに答えつつ、芸術文化を機軸とした都市のサステイナブルな循環の仕組みを問うていくことが課題である。