JACET中部支部紀要
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実践報告
包括的アプローチを通じたスピーキング能力の向上
―日本の大学におけるGohとBurnsモデルを用いたアクションリサーチ―
天野ジョーンズ 可奈子
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2024 年 22 巻 p. 25-42

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抄録
スピーキング能力の効果的な向上を目指すためには、スピーキングスキルを多面的に捉え、包括的に指導することが求められる。本実践研究では、この理論に基づいて提唱されたGohとBurns(2012)のテーチング・スピーキング・サイクルに従い授業を構築・展開し、日本人ELF大学生のスピーキング能力向上に与える教育的効果を検証した。被験者は、工学および情報学を専攻する1年生32名で、その大多数がスピーキング能力において初級から中級下のレベルにあった。2023年度前期16週のコースの中でこのプログラムを実施した結果、コースの前後で実施されたスピーキングテストにおいて、発話の正確さおよび流暢さ(ポーズ、フィラー、スピーチ速度)に関して統計的有意差が確認され、顕著な改善が見られた。一方で、言い出しの失敗、繰り返し、および再形成の数の有意的増加が認められたことから、これらの改善に向けてコミュニケーション方略の指導導入と、授業内でのフィードバック方法の改善が重要であると提案された。
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© 2024 一般社団法人大学英語教育学会中部支部
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