抄録
目的:健康推進員(以下,推進員)活動は,保健分野の住民組織活動の一つであり,多くの自治体で行政によって養成,支援されている.本研究では,推進員活動における組織と行政との関係への推進員個人がもつ認識の違いを軸に据え,それと推進員の活動状況,活動への意識および行政の推進員活動への関わりの認識との関連を明らかにすることを目的とした.方法:対象は,S県A市およびB市で活動する健康推進員600名であり,2004年11月に郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は,推進員活動状況,推進員活動への意識,推進員組織と行政との関係(「推進員組織主導」,「対等」,「行政主導」の3つの選択肢),行政の推進員活動への関わりであった.結果:有効回答数は449票(有効回答率74.8%)であった.推進員組織主導あるいは対等と考える推進員は,行政主導と考える推進員に比べて,活動に楽しさ,やりがいを感じるとともに,活動への困難感や負担感が低く,活動への評価が高かった.また,地域の問題に関心をもっていた.さらに,行政からの関わりを肯定的に認識していた.結論:推進員活動において,組織と行政との関係性は,行政主導ではなく,推進員組織主導あるいは対等と推進員個人が認識できるような関係性が望ましい可能性が示唆された.