抄録
【目的】K町では,2000年から地区ごとに介護予防・健康づくりを目的とした「地区ミニデイサービス事業」(以下ミニデイとする)を行ってきた.本研究は,小地域において継続的に行われているミニデイに注目し,コミュニティ・アズ・パートナーモデルを用いて,地域エンパワメントを検証することを目的とする.【方法】福祉協力員3グループにフォーカス・グループインタビュー(以下,FGIとする)を実施した.またミニデイの参加観察,ミニデイ関係者への半構成的面接および既存資料を参照し,実施した.【結果】コミュニティ・アズ・パートナーモデルを用い,地域をコアと8 つのサブシステムに分けた.そして,FGIで得られたすべてのデータをもとに,キーアイテムを抽出し,カテゴリー化していった.そして,モデルの枠組みを用いながら,分析を行いエピソードからストレッサーを導き出した.その結果,4つのストレッサーが挙げられ,それぞれに対する住民の反応をまとめていった.さらに,それぞれのストレッサーに対して住民が行ってきたさまざまな経過をたどり,住民たちの活動,行動について検討した.【結論】研究と分析を通し,小地域において継続的に行われているミニデイで,コミュニティがさまざまある困難なストレッサーに対し対処,解決していくことにより変化し,エンパワーされていっていると言えた.そして,コミュニティ・アズ・パートナーモデルはコミュニティ・エンパワメントのプロセスを示すうえで有用であると考える.