抄録
目的:家族の保健機能の中心的存在であり,子どもの社会的自立を支える大きな役割を果たしている子育て中の母親へのサポートの方向性を探るため,社会的健康度尺度の開発を試みた.方法:A県B市における1歳6か月児健診対象者の母親743名を対象に無記名の自記式質問紙を郵送し,そのうち214名を分析対象者とした.結果:社会的健康度質問紙を作成し,23項目で調査を行った.調査の結果,天井効果のみられた1項目を除き,22項目で因子分析を行い,Promax回転による因子分析を繰り返し,4因子19項目を採用した.4因子のCronbachのα係数は,すべての因子において.70以上であった.社会的健康度尺度の「子育てに伴う制約感(逆)」と母性意識尺度MP(肯定的意識)との間には正の相関,MN(否定的意識)との間には負の相関が認められた.考察:19項目からなる社会的健康度尺度を検討した結果,子育て中の母親の役割受容に対する意識や社会との関わりを評価する指標の1つとなりうることが示唆された.