日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
認知症についての啓発と地域づくりをめざす認知症キャラバンメイト登録者の活動と意識 : 北海道における市町村の人口規模別の分析
竹生 礼子工藤 禎子若山 好美桑原 ゆみ明野 聖子佐藤 美由紀川添 恵理子
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2011 年 13 巻 2 号 p. 23-30

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抄録
目的:認知症に関する啓発と地域づくりを担う北海道の認知症キャラバンメイトの活動状況と意識について,市町村の人口規模別に明らかにすることを目的とした.方法:対象者は国の認知症100万人キャラバン事業の研修を受講した北海道内の全登録者1,996人である.自記式無記名の調査票を郵送で配布回収した.調査項目は,基本属性,活動市町村の認知症ケア体制の認識(地域ケア会議,キャラバンメイト組織の有無等),活動状況,活動の意識(満足感・負担感・自己評価・活動継続意向)である.分析は人口を1万人未満,1〜5万人未満,5〜10万人未満,10〜30万未満,30万人以上の5区分にし,区分別に各変数のクロス集計とχ2検定およびデータ特性に合った各分析を行った.結果と考察:有効回答は901人であり,ケアマネジャー39.6%,保健師11.2%であった.キャラバンメイトとしての活動ありが64.7%,啓発のための講師経験ありは39.2%であった.最も活動経験ありの割合が多かったのは5〜10万人であった.「学ぶことが多い」「活動を継続したい」など活動継続に肯定的な意向が多く,これらには人口規模の差はみられなかった.人口規模別にみると,1万人未満は活動負担感ありが多く,5〜10万人は活動満足感が高く,30万人以上は活動の自己評価が低かった.キャラバンメイトの活動継続意向の高さを活かすためには,人口規模に即したキャラバンメイトの組織化や行政からの支援の必要性が示唆された.
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© 2011 一般社団法人 日本地域看護学会
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