抄録
本研究は,山間豪雪地域に暮らす高齢者のIADLについて3年後に追跡調査を実施し,IADLの変化とそれに影響する日常的生活行動について検討することを目的とした.対象は,A市B地区在住の要介護度II以上を除く65歳以上の一人暮らしおよび高齢者のみ世帯の対象者のうち,2003年冬季に行われた初回調査で5項目の手段的日常生活動作(IADL)がすべて自立していた90人である.追跡調査は3年後の2006年冬季に質問紙による面接調査で行った.その結果,追跡調査時点でIADLの全項目が自立していた者は,男性の80.8%,女性の76.6%にみられた.男性では「電球交換」「除雪する」「災害への備え」,女性では「食料品の買い物」「洗濯をする」「掃除をする」「入浴する」「布団に関すること」「ごみを捨てる」という日常的生活行動を実施している者で有意に多かった.日常的生活行動に着目することにより,要支援・要介護状態に移行する可能性のある高齢者を早期に把握することができると考える.