日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
健康教室における糖尿病予備群の健康行動の変容プロセス
篠岡 有雅大西 美智恵
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2011 年 13 巻 2 号 p. 54-60

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抄録
目的:糖尿病予備群の地域住民が,生活習慣改善に向けてとる健康行動の変容プロセスを明らかにすることを目的とした.方法:健康教室に継続して参加している糖尿病予備群10名を対象に,半構成的面接でデータを収集し,木下の修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.結果:糖尿病予備群の地域住民が,自分なりの健康行動をとる生活を確立していくプロセスを分析テーマとし,30の概念から『自分の体に無関心』『参加のきっかけ』『気づく機会を得る』『絶え間なく意識を保つ』『緩やかな試行錯誤の行動』『奮起の源』『周囲からの刺激』『コツの感覚を掴む』という8つのカテゴリーが生成された.プロセスでは,『気づく機会を得る』『絶え間なく意識を保つ』『緩やかな試行錯誤の行動』という3つの主要な要素があり,『気づく機会を得る』ことが最も重要な要素であった.気づき,意識し,行動するという3つの要素でサイクルが形成され,気づきが積み重なることでサイクルは循環していた.そして自分なりの『コツの感覚を掴む』ことで行動の変容ができ,その行動が継続されていくことが明らかになった.考察:気づくことはプロセスにおいて重要で,特に参加者同士の対話を用いることは有効であった.またその対話とセルフモニタリングによる定期的な気づく機会は,行動を見直し,継続のサイクル形成での起動の役割をもっていたと考えた.
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© 2011 一般社団法人 日本地域看護学会
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