日本地域看護学会誌
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新任保健師1年目の体験 : 母子保健事業での住民との関わりに焦点を当てて
若杉 里実安田 貴恵子
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2011 年 13 巻 2 号 p. 61-68

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抄録
母子保健事業での新任保健師と住民との関わりに着目し,新任保健師1年目の体験を明らかにすることを目的とする.行政機関に就職し1年が経過した保健師9名を対象とし,半構成的面接によるインタビュー調査を行った.新任保健師1年目の体験は,9つのカテゴリに分類された.新任保健師は,母子保健事業に携わり,【責任の大きさと自分の未熟さへの直面】を体験する.同時に,健診での母親との関わりから,【母親に的確なアドバイスを返せないもどかしさを実感】する.そして,新任保健師は【母親との対話を通して自分が身につけるべき知識や技術に気づく】【母親の思いに寄り添うことへの専心】【援助者としての未熟さを補う努力】という行動を起こす.この努力と行動の積み重ねから,【母親やグループの特徴の判断に基づく柔軟な対応】ができるようになる.さらに,【母子保健事業を通しての視野の広がり】も見受けられる.1年目の終わり頃には【母親の援助ニーズに合わせた関わりができていることを実感】して,【住民とこれからも関われそうな手応え】を感じるようになっていた.
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© 2011 一般社団法人 日本地域看護学会
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