日本地域看護学会誌
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Print ISSN : 1346-9657
児童虐待ハイリスク事例に対する個別支援時の行政保健師による保育所保育士との連携内容
尾形 玲美有本 梓村嶋 幸代
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2011 年 14 巻 1 号 p. 20-29

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抄録

目的:児童虐待のリスクが高い事例に対する個別支援の際に行政保健師が行った保育所保育士との連携の内容を具体的に明らかにする.方法:協力者は,母子保健または児童虐待防止に携わっている首都圏3市の保健師5人である.2009年12月に半構造化面接を行った.面接では,乳幼児期の子どもへの実母による身体的虐待,ネグレクト,心理的虐待リスクが高い事例に対して,保健師が保育所保育士と密に連絡を取り合いながら支援した際の連携内容についてたずねた.計5事例への支援に関する逐語録をデータとして,質的記述的研究を参考に分析した.結果:行政保健師が行った保育所保育士との連携内容として,《保育士と母子の情報を共有する》《児童虐待のリスクに注意しながら母子に対応するよう依頼する》《保育士が安心して対応できるように対応方針を共有する》《保育士と母親や他機関とを橋渡しをする》の4つのカテゴリーが抽出された.結論:保健師は,保育所保育士と密に連携することによって,日々母子に対応している保育士を支援し,保育所が虐待についての観察と報告を行いやすくするとともに,保育所のモニタリングの結果を保健師自身の支援に生かしながら,保育所が子どもへの保育機能や親へのケア機能を発揮できるようにしていたと考えられた.

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© 2011 一般社団法人 日本地域看護学会
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