日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
ケアマネジャーによる通い介護家族への援助における課題と援助方法の検討
松下 光子米増 直美
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2011 年 14 巻 1 号 p. 78-84

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抄録

目的:別居の子どもが通って支援している高齢者世帯への援助において,ケアマネジャーが自分なりによい援助ができた・援助がうまくいったと感じた経験と援助において困難を感じた経験から,通い介護家族への援助における課題と援助方法を検討する.方法:ケアマネジャー12人から,自分なりによい援助ができた・援助がうまくいったと感じた経験と援助において困難を感じた経験を具体的な事例とともに聞き取った.よい援助ができたと感じた内容,援助で感じた困難から事例を分類した.結果:自分なりによい援助ができた・援助がうまくいったと感じた経験は,家族が定期的に,あるいは頻回に通いながら介護を実施しており,家族の相談に対応する援助を行った,認知症症状のある高齢者の状況を伝え,家族が本人の状態を理解し,サービス利用につながった,等であった.困難を感じた経験は,認知症症状のある高齢者の状況を家族が理解できていないため,サービス利用につながらない,認知症高齢者の状況を地域の人にどこまで説明するか迷った,等であった.考察:通い介護家族への援助における課題と援助方法は,認知症症状等高齢者の現状を家族が理解する困難さと家族の理解を促す等の援助,周囲とのかかわりを調整する援助の必要性と関係調整の援助,介護保険と家族の通いで支え切れない部分への介護保険外サービスも取り込んだ援助が考えられる.

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© 2011 一般社団法人 日本地域看護学会
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