抄録
目的:介護予防システムを推進する保健師の活動指標を開発し,妥当性・信頼性を検証することを目的とする.方法:市町村および地域包括支援センターの保健師1,612人を対象に郵送による質問紙調査を実施した.再調査は,同意が得られた141人を対象に実施した.調査内容は,基本属性,活動指標案,連携活動評価尺度である.結果:509人の有効回答(回答率31.6%)と再調査の91人の有効回答(回答率64.5%)を分析した.活動指標案42項目の因子分析の結果,「住民の主体性を促す基盤づくり」「情報提供と評価による介護予防活動の強化」「多様な方法による介護予防ニーズの把握」「介護予防の課題・目標の共有」の4因子29項目から構成される活動指標を開発した.累積寄与率は51.9%で,内容妥当性を確保できた.活動指標全体のCronbach α信頼係数は0.95,各因子は0.80〜0.90で,内的整合性を確保できた.再調査との級内相関係数は0.84で安定性が確認された.結論:4因子29項目からなる介護予防システムを推進する保健師の活動指標を開発し,妥当性・信頼性を確認することができた.活動指標の項目に基づき介護予防システムを推進する活動の実施状況を評価し,意図的な活動を展開することで,今後の活動を方向づける指標となりうることが示唆された.活動指標は,介護予防システムを推進する保健師の活動として特徴的な内容を含んだ指標であると考える.