抄録
目的:在宅で終末期がん患者を看取った家族の悲嘆反応と対処を明らかにする.方法:対象は在宅で終末期がん患者を看取った家族とし,年齢が40歳以上75歳未満である者とした.データ収集方法は半構成化面接法,分析方法は質的記述的に分析を行った.倫理的配慮については,大阪府立大学看護学部研究科倫理委員会の承認を得た.結果:対象者は男性2人と女性6人の計8人,平均年齢は65.4歳,続柄は妻5人,夫2人,娘1人,死別後4〜12か月であった.家族の悲嘆反応には,【死の否認】【後悔と寂しさ】【介護からの解放】【満足感】【体調の悪化】【不眠】【役割負担と経済的心配】【閉じこもり】の8カテゴリー,対処では【死の回避】【気分転換】【気持ちの整理】の3カテゴリーが抽出された.結論:家族の悲嘆反応には,情緒的・認知的,身体的,社会的反応がみられ,対処には死の回避や気分転換という「回復志向」と,気持ちの整理という「喪失志向」がみられた.特に,在宅で終末期がん患者を看取った家族の特徴として,介護からの解放と満足感を感じていたことが考えられ,死の心構えや準備,できる限りの介護ができるよう支援することが重要であることが示唆された.これらのことから,訪問看護師は,家族の心理的反応だけではなく,身体的・社会的反応も含めた悲嘆反応を理解したうえで,家族を支援することが重要であると考える.