日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
自殺予防におけるソーシャルキャピタルを醸成する保健師活動尺度の開発
松浦 仁美西嶋 真理子星田 ゆかり
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2014 年 16 巻 3 号 p. 53-64

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抄録

目的:自殺予防におけるソーシャルキャピタル(以下,SC)を醸成する保健師活動を測定する尺度(自殺予防SC醸成尺度)を開発し,その信頼性,妥当性を検討する.方法:文献検討とインタビューをもとに,22項目の質問紙を作成した.2007年の自殺死亡率が27.0以上ある9県内すべての市町村(271か所)で自殺対策を担当している保健師に対し,郵送法による質問紙調査を行った.有効回答が得られた129自治体を分析対象に,主因子法,Promax回転による因子分析を行い,尺度の信頼性と妥当性の検討を行った.結果:16項目3因子「実効性のある関係者との連携」「個別ニーズを共有し,住民の主体的な取り組みへつなげる」「住民同士が気遣いあえるネットワークづくり」からなる尺度を作成した.尺度全体のCronbach's αは,0.91,3因子各項目は,0.79〜0.88であった.既知グループ法で有意差がみられ,外部指標とは有意な相関がみられたが,0.7以上の相関ではなかった.考察:基準関連妥当性に検証の余地は残ったが,尺度の内的整合性,構成概念妥当性は支持され,自殺予防SC醸成尺度として使用可能であることが示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本地域看護学会
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