日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
地域在住の自立高齢者における6年後の生活機能リスク発生に影響する要因
後藤 順子細谷 たき子小林 淳子叶谷 由佳大竹 まり子森鍵 祐子
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2014 年 16 巻 3 号 p. 65-74

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抄録
目的:地域在住の自立高齢者の生活機能低下の一次予防の検討のために,6年後の生活機能のリスクの発生に影響する要因を明らかにする.方法:2004年健康調査参加者185人に対して,2010年に追跡調査を実施した.追跡調査回答者146人を対象に,生活機能のリスクの有無と関連があった健康調査の有意な項目を独立変数追跡調査の生活機能のリスクの有無を従属変数として,6年後の生活機能のリスクの発生の影響要因について多重ロジスティック回帰分析を実施した.結果:回答者146人の生活機能のリスクなし群が27人(18.5%)であり,多重ロジスティック回帰分析の結果,「下肢筋力(伸展)」(OR2.01),「過去1年間の転倒経験」(OR18.83),「病気で2〜3日寝込んだときに看病や世話をしてくれる同居家族以外の有無」(ORI3.53)が生活機能のリスクの発生に関連していた.考察:歩行機能が自立している高齢者では,「下肢筋力(伸展)」が生活機能低下の徴候であり,「過去1年間の転倒」ありが影響要因だったことは,下肢筋力(伸展)の低下を補足する結果と考えられる.自立高齢者では日常心身共に介護が不要であり,短期間寝込んでも,同居家族以外に支援を求めない可能性がある.日常からのインフォーマルサポートづくりが重要である.結論:自立高齢者の生活機能低下を防ぐ一次予防は,個人の努力に加えて,下肢筋力の維持強化,インフォーマルサポートを含む地域づくりの重要性が示唆された.
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© 2014 一般社団法人 日本地域看護学会
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