日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
在日外国人女性(Immigrant women)の出産・育児経験と支援ニーズに関する文献レビュー
川崎 千恵
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2014 年 16 巻 3 号 p. 90-97

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抄録

目的:在日外国人女性の出産・育児の過程において経験する困難や,異文化社会で出産・育児を行うことの健康への影響,出産・育児の過程における支援ニーズを明らかにし,今後の在日外国人女性への育児支援策を検討するうえで示唆を得ることを目的とした.方法:医学中央雑誌,CINAHL,PubMedを用いて検索し,抽出した国内外の原著論文について分析を行った.結果:在日外国人女性は出産・育児の過程において,異文化間の葛藤やジレンマ,サポートを得られない,孤立や孤独感などの困難を経験していることが明らかになった.また,これらは産後うつなどの精神的な健康にも影響しており,情報やソーシャル・サポートのサービスへのアクセス,異文化に関連する困難への対処についての支援が必要であることが明らかになった.結論:文献レビューの結果,日本の文化の影響を考慮した在日外国人女性への具体的な支援策を検討することが今後の研究課題と考えられた.特に,在日外国人女性の支援ニーズを満たし,精神的な健康を維持するために必要な方法についての検討が求められていると考えられた.保健師等専門職は,情報やソーシャル・サポート,ソーシャル・ネットワークにつながる仕組みを整備するとともに,在日外国人女性が出産・育児の過程で直面していると考えられる困難に共感し継続的に支援を行う必要があること,家族に対する働きかけが必要であることが示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本地域看護学会
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