日本地域看護学会誌
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がんに罹患した労働者への支援において産業保健師が行うコーディネーション : 支援時期別の具体的内容とその特徴
岡久 ジュン錦戸 典子
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2014 年 17 巻 1 号 p. 13-22

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抄録
目的:がんに罹患した労働者への支援において産業保健師が行うコーディネーションに関して,支援時期別の具体的内容とその特徴を明らかにする.方法:企業に所属する産業保健師10人を対象に半構造化面接を行い,逐語録から支援時期別に情報収集,アセスメント,働きかけに分類してコードを抽出した.内容分析の手法を用いて類似するコードからカテゴリーを生成した.結果・考察:すべての支援時期を通じて,産業保健師は「病状」「就業状況」「心理状態」「周囲からの支援状況」について情報収集を行っていた.それらを基に「がんと向き合うことと安全に就業することとの折り合いのつけどころ」と「がん治療と就業継続のための支援体制」をアセスメントしていた.それを踏まえて,「がんを持ちながら就業する労働者を後押しする支援」と「支援体制の構築・強化のための関係者への支援」を行っていた.支援時期別の特徴として,診断時から休業中は事例の全体像をとらえ,治療に専念することに向けて本人および上司・人事の不安が緩和されるよう支援していた.復職期は病状の変化や職場で必要な支援を予測し,本人の自主性と上司・人事の協力を引き出すような働きかけを行っていた.復職後は,就業や病状の変化から支援ニーズをきめ細かに分析し,本人および上司・人事の主体性を高めることに主眼をおいていた.本研究により,産業保健師のコーディネーション技術の向上に役立つ示唆が得られた.
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© 2014 一般社団法人 日本地域看護学会
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