2015 年 17 巻 3 号 p. 70-77
目的:本研究の目的は,労働者の生活習慣と生きがいとの関連を明らかにし,産業保健分野での保健指導のあり方について検討することである.方法:調査対象者は製造系企業に勤務する全労働者638人のうち正規職員の544人である.調査内容は基本的属性と生活習慣および生きがいであり,無記名自記式で任意のアンケート調査を行った.生活習慣は,厚生労働省の標準的な健診・保健指導の質問項目を活用し,選択肢の内容から良好・不良の2群にわけた.生きがいの測定はPurpose-in-Lifeテスト日本版(以下,PILテスト)を用い,判定基準により低群・中群・高群に分類した.生きがいを従属変数として多重ロジスティック回帰分析を行い,生きがいに影響する要因を抽出した.結果:回収は419人(回収率77.0%)からあり,欠損値のない265人を分析した.平均年齢は33.9±8.3歳で性差はなかった.生きがいの割合は低群50.2%,中群36.2%,高群13.6%であった.年齢と睡眠は生きがいに関連しており,生活習慣である睡眠の不良群は,生きがいの低群に影響していた(オッズ比3.213, P<.01).考察:睡眠で休養が十分にとれていない人は生きがいが低いことが明らかとなり,睡眠や休養についての保健指導や健康教育の必要性が示唆された.