日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
精神障害者の家族が家族会で経験したピアサポートの内容
坪川 トモ子小林 恵子齋藤 智子
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2015 年 18 巻 1 号 p. 47-55

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抄録
目的:精神障害者の家族が,精神障害者家族会において経験したピアサポートの内容を記述し,家族のピアサポートを促す支援への示唆を得る.方法:A市精神障害者家族会の成員7人を対象に,家族会の成員に支えられた,または支えた体験とその具体的内容について半構造化面接法によるインタビューを行い,質的帰納的に分析した.結果:精神障害者の家族が家族会で経験したピアサポートの内容として,【閉じ込めていた思いを吐露する】【苦境を体験した者同士の自然な受容がある】【精神障害者の家族の実体験に基づく情報を得る】【精神障害をもつ家族から離れて自分の日常を取り戻す】【精神障害をもつ家族と共に生きている姿を重ね合わせる】【病状悪化時の助けを期待できる安心を得る】の6つのカテゴリーが生成された.考察:家族らが経験したピアサポートの内容は,「温かで受容的な対応」「生きた情報と知恵の提供」「家族自身のための時間とケア」「病状悪化時のサポートへの期待」に集約され,孤立していた精神障害者の家族にとって安心や気持ちを軽くするなど,本来の家族の力の回復につながっていた.ピアサポートを促すためには,ピアサポートの内容を意識した支援,雰囲気と関係づくりへの支援により,信頼感を醸成することが重要であることが示唆された.
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© 2015 一般社団法人 日本地域看護学会
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