日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
18 巻, 1 号
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  • 藤田 倶子
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 4-11
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:前期高齢者の筋肉量と体脂肪率が歩行速度に及ぼす影響を明らかにし,歩行速度低下のリスク因子の予防を検討する.方法:前期高齢者の男性197人,女性203人に筋肉量,体脂肪率と5m歩行速度を測定した.骨格筋指数(SMI)を男性6.87kg/m2,女性5.46kg/m2以下,体脂肪率(%BF)を男性25%,女性30%以上,歩行速度を下位四分位(男性1.163m/s,女性1.250m/s)以下で2群にし,独立変数に低SMIと高%BF,従属変数に低歩行速度,共変量に年齢,処方薬剤多数群,男性のみさらに慢性疾患重複あり群,糖尿病を投入し男女別に多重ロジスティック回帰分析を行った.結果:低SMI群は男性39人(19.8%),女性48人(23.6%),高%BF群は男性103人(52.3%),女性126人(62.1%)で,低SMIかつ高%BF群は男性25人(12.7%),女性16人(7.9%)と男性が多かった(p<.001).低歩行速度群は男性52人(26.7%),女性60人(29.6%)で,高%BFによるオッズ比は男性2.4(p=.015, 95%CI1.2-4.9),女性2.2(p=.032, 95%CI 1.1-4.6)であった.低SMIによる影響は男女とも有意性を示さなかった(男性p=.367,女性P=.678).結論:前期高齢者において男女ともに歩行速度低下に対し高体脂肪率がリスク因子となる可能性が示唆された.
  • 金谷 志子, 河野 あゆみ
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は地域高齢者見守り活動の促進プログラムを開発し,その効果を評価することを目的とした.方法:対象者は大阪府A市4地区の地区組織に所属する住民で,プログラム参加に同意した124人であった.プログラム内容は,見守りの必要性や見守りに必要な知識と技術の学習編と地域高齢者の全数訪問と見守りチーム会議等の見守り体験の実践編であった.評価方法は,プログラム実施前後に自記式質問紙調査を実施し,評価項目は見守りが必要な高齢者に対する関心の程度,地域コミットメント,地域高齢者見守り自己効力感とした.介入期間は2010年6月〜2012年2月まであった.結果:分析対象者は100人で,女性が78人,年齢は70歳以上が42人,所属団体は福祉委員会が51人,自治会が41人であった.対象者の支援が必要な高齢者への関心の程度は,いずれの項目も有意に高くなった.地域コミットメントは介入前15.1点と比べ介入後は16.2点と有意に高くなった.地域高齢者見守り自己効力感は介入前11.9点と比べ介入後は12.9点と有意に高くなった.考察:対象地域が1地域で,プログラム参加者のみの変化の評価結果であり,結果の解釈には限界があるが,本プログラムは地域住民の高齢者見守り活動を促進するプログラムとして有効である可能性が示唆された.
  • 平敷 小百合, 今松 友紀, 田髙 悦子, 田口(袴田) 理恵, 臺 有桂, 有本 梓
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:目的は,生活習慣病予防の支援に熟練した行政保健師が初回保健指導においてどのように対象者に応じた行動目標決定を支援しているのか,その支援技術を質的に明らかにすることである.方法:対象は3自治体の行政保健師5人であり,方法は質的帰納的研究である.生活習慣病予防の初回保健指導において保健師が行った支援の意図や考え,行為についてインタビューし,分析した.結果:62の<サブカテゴリー>,19の《カテゴリー》,6の【コアカテゴリー】が抽出された.すなわち保健師が用いていた支援技術は【健康の価値を高める】【主体的な行動目標づくりを促す】【健康課題の原因を生活のなかに見いだす】【生活の質の保持を優先する】【効果が実感できる目標設定に共に取り組む】【将来を見据えた堅実な行動目標を定める】であった.考察:熟練した行政保健師が生活習慣病予防の初回保健指導の場面において対象者に応じた行動目標決定を支援するため用いていた支援技術は,対象者における健康の価値を高め,対象者が主体的に行動目標を決定できるよう導くものであった.また同支援技術は,対象者の生活に定着できる形を見つけだし行動変容の習慣化を助けるものであり,対象者との共同によるものであった.
  • 蔭山 正子, 横山 恵子, 中村 由嘉子
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:精神障がいの家族ピア教育プログラムを担当する家族が活動を継続実施することで得る利益を明らかにすることを目的とした.方法:横断研究とした.2013年度に家族学習会を実施した45か所のうち,10月以降に最終回を迎えた38か所で質問紙が配布された.質問紙は,最終回に参加した家族と実施した担当者家族に配布され,郵送で回収された.そのうち担当者の回答のみを本研究で分析した.独立変数を担当者として経験したコース数,従属変数をGroup Benefit ScaleとTherapeutic Factors Inventory-19の下位尺度Instillation of HopeとSecure Emotional Expressionとした.結果:質問紙は,担当者164人に配布され,133人が返送,130人が有効回答であった.実施したコース数が多い担当者ほど,「家族学習会に参加してから,私の家族としての対応は,かなりよくなった」(F=5.60, p<0.05),「家族学習会に参加し始めてから,自分自身がよい方向に変わってきたと感じる」(F=15.76, p<0.001), Instillation of Hope (F=5.29, p<0.05)を高く評価していた.考察:担当者を継続して実施することによって,担当者が使う進行技術が身に着いて聞き上手や褒め上手になると考えられる.これらの技術は,障がいをもつ本人とのコミュニケーションにおいても役立っている可能性がある.また,担当者が体験的知識を使って他の家族を助けることは,自身の否定的な体験を意味あるものへと変える.担当者になることは,自身の生き方にも影響を与えていると考えられる.よって,担当者を継続的に実施することは,担当者自身にとっても利益があるといえる.
  • 池田 舞子, 田髙 悦子, 今松 友紀, 有本 梓, 大河内 彩子, 白谷 佳恵, 臺 有桂
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:目的は,在宅療養高齢者に対する多職種からなるチームアプローチの評価と関連要因について訪問看護の視点から明らかにすることである.方法:対象は,首都圏等の訪問看護師332人であり,方法は,無記名自記式質問紙調査(郵送法)である.従属変数は在宅療養高齢者のInterdisciplinary Team Approach(ITA)であり,独立変数は当該事例ならびにチームの基本属性,訪問看護師の個人要因ならびに環境要因である.重回帰分析を用いて分析した.結果:有効回答者数は133人(有効回答率:40.1%)であった.ITA評価得点の平均±標準偏差は65.2±14.7点であり,重回帰分析の結果,ITA評価の高さは,介護者の続柄が子の配偶者(β=0.189,p=0.017)であること,利用者・家族の生活支援に対する困難感がないこと(β=-0.278,p=0.001),チームにおける階層性・上下関係の認識がないこと(β=-0.208,p=0.009),在宅ケアシステムに関する職場内研修があること(β=0.224,p=0.005)との間に有意な関連が認められた.考察:在宅療養高齢者に対する多職種からなるチームアプローチを推進するためには,訪問看護における利用者・家族の生活支援の向上,柔軟なチームの組織構造,職場における在宅ケアシステム研修の充実が必要である.
  • 坪川 トモ子, 小林 恵子, 齋藤 智子
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:精神障害者の家族が,精神障害者家族会において経験したピアサポートの内容を記述し,家族のピアサポートを促す支援への示唆を得る.方法:A市精神障害者家族会の成員7人を対象に,家族会の成員に支えられた,または支えた体験とその具体的内容について半構造化面接法によるインタビューを行い,質的帰納的に分析した.結果:精神障害者の家族が家族会で経験したピアサポートの内容として,【閉じ込めていた思いを吐露する】【苦境を体験した者同士の自然な受容がある】【精神障害者の家族の実体験に基づく情報を得る】【精神障害をもつ家族から離れて自分の日常を取り戻す】【精神障害をもつ家族と共に生きている姿を重ね合わせる】【病状悪化時の助けを期待できる安心を得る】の6つのカテゴリーが生成された.考察:家族らが経験したピアサポートの内容は,「温かで受容的な対応」「生きた情報と知恵の提供」「家族自身のための時間とケア」「病状悪化時のサポートへの期待」に集約され,孤立していた精神障害者の家族にとって安心や気持ちを軽くするなど,本来の家族の力の回復につながっていた.ピアサポートを促すためには,ピアサポートの内容を意識した支援,雰囲気と関係づくりへの支援により,信頼感を醸成することが重要であることが示唆された.
  • 齋木 千尋, 伊藤 絵梨子, 田髙 悦子, 有本 梓, 大河内 彩子, 白谷 佳恵, 臺 有桂
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 56-64
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:本研究では,訪問看護師のとらえる臨死期にある在宅終末期がん療養者の家族介護者の体験と支援を明らかにすることを目的とした.方法:対象は,関東圏A市内に所在する2か所の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師である.管理者より熟練訪問看護師として推薦され,かつ在宅終末期がん療養者と家族介護者に対する支援の実務経験が3年以上,おおむね10事例を有する者5人である.臨死期にある在宅終末期がん療養者の家族介護者の体験と支援について半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した.結果:臨死期の家族介護者の体験について分析した結果,【在宅での看取りの決意とジレンマ】【家族の死の接近に対する知覚と混乱】【家族間の意思や感情の衝突と再結集】【家族の最期の瞬間の立ち会いと看取り】【家族の死の体験の振り返りと意味づけ】の5つのカテゴリーが抽出された.また支援については【臨死に揺れ動く家族の繊細な思いに対する見守りと対処】【在宅での看取りに必要な家族の資源力の引き出し】【看取りに求められる家族の心身の健康と日常生活の保障】の3つのカテゴリーが抽出された.考察:臨死期における在宅終末期がん療養者の家族介護者への支援においては,臨死期の家族が看取りの過程におけるさまざまな体験を乗り越えるとともに,家族がその後の人生も主体的に生きていけるよう,成長のプロセスを支えることが重要である.
  • 中世古 恵美, 松田 宣子, 小寺 さやか
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 65-74
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:バヌアツ共和国の小学校高学年における市販食品摂取の実態とその関連要因を明らかにする.方法:バヌアツ共和国の都市部と地方部の小学6〜8年生を対象に,市販食品摂取(肉または魚の缶詰,清涼飲料水,スナック菓子,市販の甘い菓子類)とその関連要因(基本属性,準備要因,強化要因)について自記式質問紙調査を実施した.市販食品4点の摂取頻度から合計16点満点の市販食品摂取得点を算出し,単変量解析を用い(マンホイットニーのU検定,スピアマンの順位相関),市販食品摂取に関連する要因を検討した.結果:対象者の9割以上が調査に同意し,同意を得られた者に質問紙を配付した.質問紙の配付数は,都市部194人,都市部221人,合計415人で,全員から質問紙を回収し,そのすべてを有効回答とした.生徒の市販食品摂取得点(平均値±標準偏差)は,8.9±3.1であった.単変量解析の結果,生徒の市販食品摂取には「居住地域」「食品への認識」「喫煙への関心」「市販食品認識得点」「家財道具保有数」が有意に関連していた.考察:単変量解析の結果から,都市部に居住している者,ローカル食品に対する肯定感が低い者,市販食品に対する肯定感が高い者,将来の喫煙を希望する者,家財道具を多く保有している者は,「市販食品摂取得点」が高い傾向にあることが確認された.学童期からの市販食品の摂取過多を防ぎ,将来の非感染性疾患の発症を予防するためには,これらの要因を考慮した保健教育プログラムの検討を行うとともに,保護者への教育的介入や環境面の整備を行っていく必要がある.
  • 東 清巳, 日浦 瑞枝
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 75-81
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:がん診療連携拠点病院の5人の病棟看護師による高齢終末期がん患者の在宅移行に向けた支援の経験を明らかにし,支援を促進するための課題を検討した.方法:2008年11月,A県3か所のがん診療連携拠点病院で,高齢終末期がん患者の在宅移行に対して複数回の支援経験を有し中堅〜エキスパートに位置する病棟看護師5人を対象に,半構成的インタビューを行い,在宅移行支援に関する経験を語ってもらった。作成した逐語録から支援経験を抽出し質的に分析した.結果:在宅移行を支援した看護師の経験は,【在宅療養に価値をおく】【患者・家族の在宅移行への覚悟を支える】【在宅移行のタイミングをのがさない】【在宅移行への安心を保証する】【ネットワークを強める】の5つのカテゴリーと13のサブカテゴリーから構成されていた.考察:高齢終末期がん患者の在宅移行支援を促進するために,がん診療連携拠点病院が取り組むべき看護師への教育的課題として,【在宅移行のタイミングをのがさない】【在宅移行への安心を保証する】ことへの看護師の認識の強化や,【患者・家族の在宅移行への覚悟を支える】【ネットワークを強める】教育,ならびに最も重要で困難な【在宅療養に価値をおく】に対して,看護師の移行支援経験の積み重ねや訪問看護師による支援の評価をとおして,看護師が在宅移行支援に関心をもち在宅療養に価値が見いだせるよう教育していく必要性が示唆された.
  • 成田 太一, 小林 恵子, 齋藤 智子
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 82-92
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:漁村に暮らす住民のソーシャル・キャピタル(SC)の実態と属性等との関連を明らかにし,SCを活用した効果的な保健活動を検討していくための示唆を得る.方法:A県B市C地区在住の20歳以上の全住民449人を対象に留置法による質問紙調査を行った.調査項目は属性,主観的健康感,生活満足度,居住継続意思,SC.結果:回収数(率)は220(49.0%).SCの実態として,「友人・知人との付き合い」「親戚・親類との付き合い」は65〜74歳で有意に多く,「近所の付き合い」「地域の行事・活動への参加」は20〜39歳で有意に少なかった.SC指数の平均値は,「付き合い・交流」-0.025(±0.8)が最も高く,年代別にみると「信頼」「社会参加」の指数と「結合型SC指数」「総合指数」で20〜39歳の得点が有意に低かった.考察:2007年の全国調査と比較してC地区のSCはやや高く,相互に信頼・交流しながら生活している様子がうかがえた.一方,20〜39歳の結合型SCが他の世代に比べて低く,後期高齢者も橋渡し型SCが若年層に次いで低く,交流が地区内に限定されている可能性がある.離島漁村地域においては,地域のつながりの強さを生かしつつ,多世代交流や他地区住民との交流の推進など水平型のネットワークを促進していくことが住民のSCを高め主体的かつ継続的な健康づくりに寄与する可能性が示唆された.
  • 松浦 清恵, 門間 晶子
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 93-101
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:自治体の自殺対策担当者である保健師や精神保健福祉士が,自殺に対する地域住民の意識や自殺に影響を及ぼす可能性のある地域特性および自殺対策活動の課題として感じていることを明らかにし,効果的な自殺対策活動推進のための示唆を得る.方法:A県内12地域の県型保健所および市町村の自殺対策担当者14人を対象とし,半構造的面接法により収集したデータを質的記述的に分析した.結果:自殺対策担当者が感じている地域住民の意識として,【高い住民の意識・関心】【他人事として容認】【タブー視する風潮】の3カテゴリーが抽出された.地域特性としては,古くからの地域に関する【助け合う・見守る文化】【閉鎖的・排他的・封建的】,新しいまちに対する【生活が便利】【地域のつながりの薄さによる孤独や生きづらさ】などの6カテゴリーが抽出された.自殺対策活動の課題としては,【分析と効果把握の必要性】【市町村の抵抗感や苦手意識】【市町村の担当部門の明確化】などの5カテゴリーが抽出された.考察:自殺対策担当者が感じている住民の意識や地域特性として,比較的都市部と郡部といった地域による相違が把握できた.また,自殺対策活動の課題としては,保健所と市町村の役割分担に"ジレンマ"を感じていた.保健所と市町村が協働して地域の自殺の実態把握をしたうえで,市町村が住民の力を借りて,地域の絆やつながりの仕組みづくりをしていく活動を,保健所が後押ししていくことが自殺対策活動の展開のために重要であると示唆された.
  • 白川 あゆみ
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 102-109
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,わが国において男性が配偶者を亡くしたあとの心理社会的影響を明らかにし,看護の支援課題と研究課題を導くことである.1983〜2013年までの,30年間に公表された,配偶者を亡くした男性の,心理社会的影響について研究された文献9件について検討を行った.心理社会的影響の内容,影響をもたらす要因,および影響の緩和要因の3点から検討し,その結果,配偶者を亡くした男性は孤独感や悲嘆が生じ,近所づきあいが減少し,親戚づきあいもなくなることがうかがわれた.死別後も新たな人間関係が構築できる支援が必要である.また配偶者を亡くした未成年の子どもを育てる男性は孤立無縁な状況におかれるとの思いをもっていた.看護者は.配偶者を亡くした未成年の子どもを育てる男性と意図的にかかわり,育児等,必要な情報の提供や同じ立場の人々の出会いの場をつくり,子育てについての相談の機会等を提供していくこと,必要に応じて施策の見直しや立ち上げの必要があることが考察された.今後の研究課題として先行研究の少ない未成年の子どもを育てる配偶者を亡くした男性の研究を積み重ね,基礎資料をつくること必要であると考えられた.
  • 池上 由美子, 後閑 容子, 石原 多佳子
    原稿種別: 本文
    2015 年 18 巻 1 号 p. 110-117
    発行日: 2015/08/31
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:精神保健福祉業務担当保健師が,職場や関係者等から求められている業務として認識する程度と,遂行能力の自己評価の差から,保健師が能力の不足感を抱える業務内容を把握する.方法:全国の都道府県型保健所の精神保健福祉業務担当の保健師442人に質問紙を配布した.精神保健福祉業務内容48項目ごとに,職場や関係者等から求められている業務として認識する程度とそれに対する保健師の遂行能力の自己評価の差を能力の不足感と操作的に定義し,ウィルコクスンの符号付き順位検定を行った.結果:142人から回答を得て140人を分析対象とした。31項目に有意な差があり,保健師が能力の不足感を抱える業務内容には,管内の精神保健福祉の実態把握,自殺やうつ,近隣の迷惑行為等の相談,措置入院関係の通報等への対応,訪問指導では突発的な緊急事態発生時の入院や支援の対応等があった.考察:保健師の精神保健福祉業務の専門能力を発展させるために,継続的な専門知識や技術習得の支援ができる研修体制が必要と思われる.
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