抄録
目的:在宅療養する神経難病患者への支援を行っている保健師の関係機関・関係者の調整技術を明らかにする.方法:県型保健所で神経難病患者の在宅療養を支援した経験のある保健師6人に,半構成面接を行い,インタビュー内容を質的記述的に分析した.結果:調整技術として4つのカテゴリーと,28のサブカテゴリーが抽出された.抽出された4つのカテゴリーは【患者・家族のニーズを顕在化させると同時に,関係機関の支援の準備性を高め,支援ネットワーク形成の素地をつくる】【患者・家族が必要な時期に必要な関係機関とつながることを支える】【患者の状況に合わせ制度の枠にとらわれず調整者の活動を支援する】【関係機関・関係者のつながりを太く保ち,患者の病状や状況の変化に対応したケアが提供し続けられるようにする】であった.考察:保健師は,本人・家族と関係機関・関係者に働きかけ,準備性を高めたうえで両者をつないでいた.また,必要になるサービスを判断し,つなげることができる関係機関・関係者につなげることを重要視していた.関係機関・関係者がつながりを保てるよう支援していた.調整者には,進行する症状の見通しをもち,変化し続ける状況に対して自立して支援していけるよう支援を行っていた.これらの活動の積み重ねが関係機関・関係者のネットワークをつくり,神経難病患者が在宅療養できる地域づくりにつながっていくと考える.