2016 年 19 巻 1 号 p. 48-54
目的:団地自治会による高齢者の孤独死予防の取り組みを明らかにし,看護への示唆を得る.
方法:研究対象者は団地で生活を送る高齢者に対して孤立予防・孤独死予防も含め高齢者支援の取り組みに中心的に携わっている3団地の自治会長ら3人である.研究デザインは質的記述的研究であり,半構成的面接によりデータ収集し分析を行った.
結果・考察:本研究は,【個人の状況を踏まえた介入のむずかしさ】【手さぐりしながらの高齢者の見守り】【つくられていく住民同士の互助関係】【自治会の組織力】の4カテゴリーから構成された.団地では【個人の状況を踏まえた介入のむずかしさ】はあるが民生委員や有償ボランティアによる《見守り活動の体制》で【手さぐりしながらの高齢者の見守り】,自治会独自の孤独死予防の取り組みを行っていた.自治会のあいさつ運動は《住民と高齢者(の)がつながり》《暮らしぶりを察した隣人による手助け》ができる関係まで発展し【つくられていく住民同士の互助関係】がみられるようになった.高齢者の孤独死予防の取り組みは《高齢者見守りに協調してくれる住民》や《自治会独自の体制》など【自治会の組織力】を支えていた.このような団地自治会の活動は孤独死予防の取り組みだけでなく首都圏におけるコミュニティ再構築と地域の活性化につながるものであり,高齢者の社会参加の場への看護職介入は要支援・要介護者の早期発見の機会となりうる可能性が示唆された.