目的:本研究の目的は,在宅看取りを体験した介護者の講演を聴講することによる,看護学生の死生観,ターミナルケアに対する態度への影響を明らかにすることを目的とした.
方法:A大学看護学部の2年生97人を対象とし,在宅介護および看取りの体験に関する講演を行い,講演前後の死生観およびターミナルケアに対する態度を,臨老式死生観尺度(DAI)およびFrommeltのターミナルケア態度尺度日本語版(FATCOD-Form B-J)を使用し測定し,検討した.
結果:67人を分析対象とした.講演後,DAIの因子「死への恐怖・不安」が有意に低下した(p<0.001).FATCOD-Form B-Jの2下位尺度得点に有意な上昇が認められた(p<0.001,p=0.029).
考察:講演聴講は,看護学生の「死への恐怖・不安」を減少させ,「患者・家族を中心とするケアの認識」と「死にゆく患者への前向きさ」を高める可能性が示された.さらに講演前後のアンケートへの回答を通して,生きることや死ぬことの意味を考える機会となり,聴講とアンケートへの回答といった一連の教育方法を意図的に行うことによって,看護学生の死生観や態度に影響を与える可能性があることが示唆された.