日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
外来看護師による在宅療養支援ニーズ把握の実態
―一般病院を対象とした全国調査―
錦織 梨紗永田 智子
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2017 年 20 巻 2 号 p. 29-37

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抄録

目的:一般病床100床以上の病院における外来看護師による外来患者の在宅療養支援ニーズ把握の取り組みの実態と,病院の特徴との関連を明らかにすることを目的とした.

方法:2015年10月に全国の一般病床100床以上の病院2,541病院を対象に,自記式質問紙調査を実施した.外来看護師による外来患者の在宅療養支援ニーズ把握の取り組みに関する4項目のうち1つでも実施している病院を「取り組みあり」とし,病院・外来の特徴とニーズ把握の取り組みの有無の二群間比較を行った後に,ニーズ把握の取り組みを従属変数とする多重ロジスティック回帰分析を行った.

結果:657病院から有効回答を得た(有効回答率25.9%).ニーズ把握の「取り組みあり」の病院は347病院(52.8%)であり,それらの病院の特徴は,「外来看護に関する診療報酬を算定している(OR=1.76)」「看護師に相談するコーナーがある(OR=1.71)」「外来で行う看護に明確な方針・理念がある(OR=5.49)」「外来看護師は勉強会などを実施し知識を共有するための取り組みをしている(OR=1.77)」であった.

結論:半数以上の病院がニーズ把握に関して何らかの取り組みを行っていた.外来在宅療養支援ニーズ把握のための取り組みを行っている病院は外来看護師が主体的に業務に取り組む職場風土を有していた.組織として方針や理念を示し,勉強会等により知識・意欲の向上を図ることで在宅療養支援ニーズの把握の取り組みが導入されやすくなる可能性が示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本地域看護学会
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