2017 年 20 巻 2 号 p. 4-11
目的:都市部地域在住の壮年期住民におけるロコモティブシンドロームの実態とリスク要因を検討し,ロコモティブシンドロームの一次予防に向けた壮年期からの健康づくりの示唆を得る.
方法:横浜市在住の40~64歳の壮年期住民で,住民基本台帳より無作為抽出された3,000人を対象に,無記名自記式質問紙調査(第一次調査)ならびに身体機能検査(第二次調査)を実施した.調査項目は,ロコモティブシンドロームの有無(立ち上がりテストによるロコモ度1),基本属性(年齢,性別など),身体特性(生理的機能(血圧,握力,BMI),身体的不健康感),社会特性(社会活動尺度,社会資源の周知度)である.分析は,ロコモ度1を従属変数としたロジスティック回帰分析を実施した.
結果:第一次ならびに第二次調査に回答した160人を分析対象とした.対象者の平均年齢は,55.5±7.3歳,男性が53人(33.1%)であった.ロコモ度1の該当者は,45人(28.1%)であった.性別,年齢を調整し,ロジスティック回帰分析を行った結果,リスク要因は,BMI(OR=3.75,95%CI:1.44~9.73),身体的不健康感(OR=0.75,95%CI:0.57~0.99),社会活動(OR=0.83,95%CI:0.70~0.97),ウォーキング事業における周知度(OR=3.76,95%CI:1.69~8.37)であった.
考察:壮年期におけるロコモティブシンドロームの一次予防には,ロコモティブシンドロームの普及啓発とともに,壮年期が自身の健康を振り返り,健康増進のために活動できる地域の場づくりが必要である.