2018 年 21 巻 3 号 p. 15-23
目的:禁煙外来受診者が,禁煙を開始し継続するなかでの心理プロセスを明らかにし,禁煙支援への示唆を得る.
方法:禁煙外来受診者6人に対して,禁煙外来初回受診時から最終受診時の3か月間の各外来終了後にインタビュー調査を行い,得られたデータから修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した.
結果:外来受診時は【気持ちを整理して準備】し,禁煙開始後【気持ちを意識的に禁煙へ向け】,日々過ごすことで【光がみえ,気持ちが少し楽になる】と感じ,禁煙外来終了時には【気持ちに一区切りをつける】という『禁煙に向かう気持ちが進展する』プロセスであった.並行して,初回受診時の<自分をコントロールできない気がして怖い>という不安が,上記の過程を通して<ここまで来たらたぶん大丈夫>と自信を獲得していくが,<大丈夫と言われるがまだ不安>という『禁煙を決意した自分への不安が小さくなりつつも払拭できない』というプロセスがあり,相互に関係しながら進んでいくものであった.そして,2つのプロセスを家族やスタッフからの【精神的な支えが力になる】思いが支えていた.
考察:禁煙外来受診者は不安を抱えながら受診し,禁煙を開始し継続するなかで直面する課題を1つひとつ乗り越えていくことで達成感を得て,その結果,自己効力感を獲得し,禁煙行動とともに禁煙に向かう自分への自信が禁煙の継続へと結びついていくという心理プロセスであった.