2018 年 21 巻 3 号 p. 24-31
目的:離島在住の要支援高齢者におけるソーシャル・キャピタルと生活機能について,都市部および農村部在住者との比較により,それらの特徴を明らかにする.
方法:地域包括支援センター専門職者によって,要支援高齢者741人(離島241人,都市部250人,農村部250人)を対象に,質問紙調査を行った.独立変数は,要支援高齢者の居住地域(離島,都市部,農村部)であり,従属変数はソーシャル・キャピタル(一般的信頼と互酬性の規範,社会的ネットワーク)と生活機能(老研式活動能力指標,JST版新活動能力指標)である.
結果:離島の要支援高齢者における他者への信頼は,都市部と比べて低かった(離島=1.0,都市部=2.03,95%CI:1.26-3.28,p<0.01).また,離島の要支援高齢者における生活機能は,老研式活動能力では農村部(2.26,1.48-3.47,p<0.01)と比べて低く,JST版新活動能力では都市部(3.04,1.85-5.00,p<0.01)と比べて低かった.
結論:離島在住の要支援高齢者におけるソーシャル・キャピタルの特徴は,都市部と比べて他者への信頼が低かった.また,生活機能の特徴では対象地域と比べて低かった.