2018 年 21 巻 3 号 p. 49-55
目的:前向き子育てプログラムに参加した学童期以降の発達障がい児の親の子育てについての認知と行動の変化を明らかにする.
方法:前向き子育てプログラムの参加者の発言を逐語録にし,子育てに関する気づきの発言に注目して意味単位として抽出し,親が自分の認知や行動を変化させていることを意味するかどうかを吟味・検討し,分析する.
結果:前向き子育てプログラムに参加した学童期以降の発達障がい児の親の子育てについての認知と行動の変化として,【新しく学んだ技術を取り入れる】【いままでの自分の育児行動や考えを振り返る】【自分の感情をコントロールして子どもに関わる】【家族と協力関係を構築する必要性に気づく】の4カテゴリーを抽出した.
考察:学童期以降の発達障がい児の親は,前向き子育てプログラムを通して子育てに関する知識とスキルを身に付け,【新しく学んだ技術を取り入れる】【いままでの自分の育児行動や考えを振り返る】【自分の感情をコントロールして子どもに関わる】【家族と協力関係を構築する必要性に気づく】ことで子育てに前向きになり,子どもの問題行動や家族の課題に対処することが示唆された.発達障がい児の子育て支援においては親同士が子育ての体験を共有し,共感し合える場の提供と個別の状況を把握したうえでの個別支援および継続支援が必要である.また,学童期以降の発達障がい児の親は家庭内のコミュニケーションが重要な課題であると考える.