日本地域看護学会誌
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就労妊婦を対象とした母親学級の内容と企画担当者による評価
―地域におけるプログラム企画者へのインタビューと参与観察より―
西山 依里渡井 いずみ
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2018 年 21 巻 3 号 p. 41-48

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抄録

目的:地域で就労妊婦を対象に行われている母親学級等のプログラム内容およびプログラム実施の効果に対する企画担当者の評価を明らかにすることである.

方法:地域で就労妊婦を対象とした学級を開催する3自治体でプログラムを企画・実施した保健師または助産師に対する半構造化面接と学級の参与観察を行い,質的記述的に分類・整理した.

結果:プログラム内容として,11サブカテゴリーと5カテゴリー【基本的な妊娠・出産・育児に関する情報を提供する】【夫婦共同での子育て体制を促す】【共働きカップルに起こりやすい葛藤や不安を軽減する】【近隣の共働き夫婦との仲間づくりを推進する】【仕事と子育ての両立を支援する】が抽出された.プログラム企画者による実施効果評価として9サブカテゴリーと4カテゴリー【共働きカップルの仕事と育児の両立に向けた準備が促進される】【多職種・多機関が連携したプログラムをつくる必要がある】【休日開催に伴う利点と課題が生じる】【継続的に実施できる方法の検討が必要である】が抽出された.

考察:就労妊婦を対象としたプログラムには,共働き夫婦特有の葛藤や不安の軽減や仕事と子育ての両立支援など特徴的な内容が含まれており,企画者も一定の効果があると評価していた.しかし,共働き夫婦の多様なニーズに応えることや継続的に実施することへの困難も明らかとなり,今後の運用方法を検討する必要性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本地域看護学会
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