2019 年 22 巻 2 号 p. 89-96
目的:労働者の生活習慣改善のための保健指導においてInformation and Communication Technology(ICT)を利用する際の阻害要因とその活用のための技術を明らかにする.
方法:労働者への保健指導経験が5年以上ある専門職を対象にフォーカスグループインタビューを行った.1回目に保健師5人,2回目に保健師3人と栄養士2人の計10人を対象とした.質的記述的研究方法に基づき分析した.
結果:阻害要因は6カテゴリーと17サブカテゴリー,技術は4カテゴリーと11サブカテゴリーがあった.【インターネット上での援助的コミュニケーションのむずかしさ】に対し,【信頼関係のもとでインターネットツールを利用する】技術が挙げられた.また,インターネットツールの内容の煩雑さや利用中断等,【対象者がインターネットツールを利用するむずかしさ】に対し,【対象者のインターネット利用状況に合わせて支援する】技術,インターネットツールと対面支援を組み合わせる等,【インターネットツールを使った保健指導を企画し実行する】技術が挙げられた.
考察:保健指導でのICT活用のためには,信頼関係の維持とICT利用を両立する保健指導プロセスが重要である.また,ICT進展に伴う対象者のインターネット利用状況の変化に合ったインターネットツールの利用が必要である.その際,さまざまな世代や職種が含まれる労働者の特性を踏まえた支援が求められる.